前世占星術の説明

前世占星術とは、オーソドックスなホロスコープ占星術に「前世」という視野をとりいれて解釈を拡充しようという試みだ。

二十世紀の占星術は、主に心理学と結びついて発展してきた。とくに八十年代から九十年代にかけて、欧米では占星術は単なる迷信ではなく、ひとつの信頼に足るセラピー、あるいは知的な領域であるという認識が広がっていった。二十一世紀になってアメリカではケプラー・カレッジという占星術専門の単科大学が、イギリスではバース・スパ大学における「文化天文学と占星術」科が誕生し、アカデミシャンを驚かせ、占星術家たちを大いに喜ばせたという背景がある。しかし、そういった「知的アプローチ」が占星術において成されたとしても、「死」という経験的世界の彼岸の存在を前提とする「前世」は、どうあっても合理的、知的アプローチにはなじみにくいだろう。

カルマ占星術では、あなたが過ごしてきたいくつもの前世と、それらが現世に与えている影響を占う。そして、あなたがカルマ的に受け継いできたものや、魂が成長しようとしている方向を解読する。ここでカルマ的とは、単に「カルマに関係して」という意味である。カルマ占星術では、過去をひもとくことによって、あなたの現世を明らかにする。

あなたの出世時に太陽が位置していた星座で占う「太陽占星術」があるが、あるとき偶然「白紙の状態」でこの世に生まれ、太陽の位置によってその特徴が決定されるという考えは、大半の人にとってあまり納得できるものではない。それに対して、占星術、つまり個々の出生図は、ずっと緻密に出来ています。例えばあなたがプロの占星術家から、将来あなたの身に起こるべくして起きること、あなたの中に深く刻み込まれている態度など、出世図にはあなたの魂のすべてが表れていると言われたらどうだろうか。あなたは「なぜ？どこでそんなものがつくられたの？なぜ私がそんな態度をとるといえるの？どうしてそんなことが起きるということがわかるの？」と、問いただしたくなるのではないだろうか。だとすれば、あなたならではの特徴は、どのようにして創られたのだろうか。ここで「転生」に目を向けてみる。転生とは、過去に他人の人生を生きていたあなたが、現在の肉体を借りて生まれ変わってきたということである。前世を占うカルマ占星術と従来の占星術との違いは、カルマ占星術では、あなたが前世で経験したこと、つまりあなた自身が他の人生で行なったプラスの行為とマイナスの行為が出世図に反映されると考えている点である。カルマ占星術では、人がこの世に生まれる瞬間は、前世での経験、現世での経験、さらには来世での可能性の全てに合致するように注意深く選ばれているという立場をとっているのである。

カルマの視点に立って出世図と向き合うと、現在の自分や魂が成長しようとしている方向が見えてくるはずである。